素敵に捏造、マハール史
おかげでもう何が何やら。
というわけで、捏造度二〇〇パーセント(謎)でお送りした『心〜』シリーズ第四章『臨む心』、如何だったでしょうか。
今回の後書きでは、第四章の作中で色々と書いておきながら細かい事は一切割愛したマハール史についてのよもやま話をします。特に興味のない方、及び原作ゲームを完全に無視した捏造設定に拒否反応を示される方は、ブラウザ・バックをお勧めします。
実を言うと、『心〜』を中心とした一連の物語の中では、カーナ史よりもマハール史の方が細かく設定されています。その辺りは、第四章を読んでいただいた皆様にはお分かりの事かもしれませんが。
その一番の原因は、マハール・ラグーンの地理の特質に潜むデメリットに気付いたからでした。すなわち、国土の大半が湖沼・河川であるため、耕地となり得る陸地が他国に比べて圧倒的に狭い事。
これに気付いた時、歴史スキー簾屋は快哉を叫びました。何だよこれ、カーナ史を捏造するより面白くなりそうじゃん! と。事実そうなったからタチが悪い。
というわけで、以下、簾屋的捏造マハール史の概略を一気に説明します。
マハール・ラグーンは、有史以来耕地面積の狭さに悩まされてきた。それはすなわち、自らの土地では主食となる穀物をほとんど栽培できない、という事を意味する。僅かな耕地を巡る争いの歴史は、未熟ながらも何とか完成を見た航空技術の登場によって、一つの終止符を告げる。
他ラグーンへの航路を切り開いたマハール人は、自らのラグーンで産出される魚介類、時には水そのものを商品として、世界を相手に貿易を始める。そのたくましい商魂と開拓精神は、キャンベル・ラグーンへの航路開拓と共に更に大きく花開き、彼らは遊牧騎馬民族『草原の民』が闊歩する草原へと移住しだした。農地を開墾し、都市を築き、マハール系の入植者たちは『草原の民』と争いながらも、一つの共存の道を歩むようになる。
一方マハール本土は、各地の同胞たちがもたらす富によって、オレルスでも類を見ないほどの繁栄を誇るようになる。土地を巡って続けられてきた紛争はいつしか下火になり、統一王朝が成立、その下で、商業国家マハールは更に繁栄していった。商取引や債権、財産権を保護する目的で商法全般や民法が整備され、それが拡大していき、マハールはオレルス世界最初の立憲君主国となる。
はい、長い話にお付き合いくださりありがとうございました。
ともあれ、かくしてマハールはオレルス一の商業国家・法治国家となったわけでした。
(注・簾屋は法学に明るくありません。実際の歴史において法律が上記のような進化を辿ったとは限りませんので、決して鵜呑みにはしないでください)
ちなみにそんなマハールの自給自足率は、グランベロス、ダフィラに次いでワースト3です。小麦などの穀物をほとんど全て国外から輸入している、という状況のせいですね。余談ですが、自給自足率ナンバー1は我らがカーナでした。
マハールの歴史は上記のような感じですが、ここにもう一つの要素が加わります。
そう、簾屋の大好きな民族問題!(詳しくもないくせしてやろうとするから始末に終えない)
『心〜』シリーズではそれほど重要なファクターでもないのでサラッと流した(つもり)ですが、過去編での一つのキーポイントなので、軽く説明を。
『臨む心』ではほとんど紹介しませんでしたが、マハールには六つの民族が居住しています。マジョリティーである『湖畔の民』を筆頭に、『川の民』、『泉の民』、『沢の民』、『沼の民』、『塩の民』がそれです。
この六つの民族は、遺伝子上では同一の人種です。しかし、信仰や民族の歴史などの微妙な差異やすれ違いによって、歴史的には全く違う民族となっています。
この差異やすれ違いが遠因となって起こったのが、作中でチラリと登場した「国土浄化」です。字面で何が起こったのか、は大体予想できると思いますし、それについては過去編でじっくりとやるつもりでいるので、ここでは割愛します。
この「国土浄化」に、ビュウも、そして今回登場したビュウの義理の父トリスも、大きく関わっていました。これが二人の人生を大きく変え――
って言うか、オリキャラのトリス親父の過去(=マハール史の一端)を書きたい、とか思っている辺り、本当に始末に終えません。
というわけで、今回のオリキャラはビュウの血の繋がらない父トリス=アソルでした。純粋生粋コッテコテのマハール人で、元マハール騎士。
他のサイト様の設定などを拝見すると、多くの場合、ビュウは天涯孤独だったりしますが、ウチは何故か家族全員存命だったりします。何故か? 作った設定がまずかった。死ぬなんてあり得ねぇ、この一家。
そんなわけで、ビュウの実家、アソル家は最高レベルの武芸者揃いです。しかもお向かいさん(第五章にて登場予定)も含めると向かう所敵なし。でも多勢に無勢だからとりあえずグランベロスには逆らわない。
……何でしょうね、この一家は。
とにかく、第四章も何とか書きたいところは書けたと思います。
ちなみに一番書きたかったのは、七話でビュウが大塩湖で花束を手向けるあのシーンでした。あの辺りは完全に過去編の話です。ごめんなさい。おかげであれだけ見ても何が何やらでしょう。過去編はちゃんと書きますから、皆様、簾屋をせっついてやってください。
次回はゴドランド編。
ゴドランド編は、キャンベル、マハールとは違って、「解放」戦ではありません。趣向は大分変わりますが、次回も戦闘ありです。そして次回もオリキャラ登場です。すみません、懲りるどころかオリキャラがいないと話が進まないんです。
最後に、『臨む心』で使用した背景画像は『a day in the life』様からお借りしました。
では、ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
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