このあと盧俊義小父さんは燕青君に蹴られて足捻るんだぜ



 身も蓋もねぇ。


 というわけで、『浪子』盧俊義小父さん番外編でした。こんな病んだ話を『浪子』執筆時に考えていたなんて、我ながら馬鹿じゃないのと思います。
 何でこんな病んだ盧俊義小父さんになったか。
 あれです。物書きの性がうずきまして。
 孤児を拾って育てた心優しい食欲人間、は既にどなたかがやられたように思いますし、燕青君のパパ属性はもう既に北方水滸で手垢ついてる。
 つまり――人と同じもの書いてもつまらないよね! と物書き脳が騒ぎ立てまして。
 ではどんな風に盧俊義小父さんを書くか。ここでヒントになるのが盧俊義小父さんが最終的に席次で第二位になるという事実。あの盧俊義小父さんが? あのおっとりメタボが!? いやいやあれのどこをどういじったら宋江さんの次の地位に立つのよ、と脳内パニック。そしてそこを気合いでいじるのが物書き脳のお仕事。
 ――あ、じゃあ、ああ見えて実は切れ者だった、って事にしちゃおう。
 ――ついでに何もかも周囲を欺くポーズだったら、楽しいよね(主に私が)。
 というのを基本として、盧俊義小父さんのキャラを固めていった……らしいですどうやら。どういう事なんでしょうねまったく。


 この『空の手』で、『浪子』であえて描かなかった裏の部分は全て描いた、と思います。
 盧俊義小父さんの本性。盧俊義小父さんが燕青を引き取り、育てた理由。盧俊義小父さんが梁山泊にホイホイやってきた理由などなど。
 書いてて一番楽しかったのは、盧俊義小父さんの病的な心理が露呈したところと、盧俊義小父さんと呉用先生の丁々発止のやり取り(多分違う)です。切れ者でタヌキな盧俊義小父さんから見たら、呉用先生はまだまだ青くて若くて頭でっかちで策に頼りすぎ、とか、そんなだったら主に私がすごく楽しい。


 そんなこんなで『浪子』盧俊義番外編『空の手』、これにて終了でございます。
 捏造と妄想の激しい中編にここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!

 

 

 

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